大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

仙台地方裁判所 昭和54年(わ)351号 判決

一、本店所在地

宮城県登米郡東和町米谷字元町一六番地

一、法人の名称

株式会社 佐々木組

(右代表者代表取締役 佐々木覺)

一、本籍

宮城県登米郡東和町米谷字元町一五二番地の一

一、住居

同県同郡同町米谷字元町一六番地

会社役員

佐々木覺

昭和六年三月一日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官松田成出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人、株式会社佐々木組を罰金一、三〇〇万円に、

被告人佐々木覺を懲役一〇月に各処する。

被告人佐々木覺に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人、株式会社佐々木組(以下被告会社という)は、宮城県登米郡東和町米谷字元町一六番地に本店を置き、土木建築請負業を営むもの、被告人佐々木覺(以下被告人という)は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人は被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空外注費等を計上して簿外預金を設定するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和五〇年六月一日から昭和五一年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億八五四万七、三八一円でこれに対する法人税額が四、一四八万二、四〇〇円であるのにかかわらず、同年七月三一日、同県同郡迫町佐沼字内町四二番地の一所在の所轄佐沼税務署において、同税務署長に対し所得金額が四、九九七万四、九三四円でこれに対する法人税額が一、八〇七万五、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における法人税額二、三四〇万六、五〇〇円をほ脱し、

第二  昭和五一年六月一日から昭和五二年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億二、〇五三万七、二一八円で、これに対する法人税額が四、五九九万八、七〇〇円であるのにかかわらず、同年七月二九日、前記佐沼税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五、四五三万六、八八〇円でこれに対する法人税額が一、九六二万七、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における法人税額二、六三七万〇、八〇〇円をほ脱し、

たものである。

(証拠の標目)

一、検察官の昭和五四年七月二〇日付捜査報告書

一、登記官の商業登記簿謄本

一、小野寺勇雄及び佐々木和子の各検察官に対する供述調書

一、大蔵事務官の架空外注費等調査書

一、大蔵事務官の未納事業税額計算書(自昭和五〇年六月一日至昭和五一年五月三一日)(判示第一事実につき)

一、大蔵事務官の未納事業税額計算書(自昭和五一年六月一日至昭和五二年五月三一日)(判示第二事実につき)

一、大蔵事務官の簿外預金等調査書

一、大蔵事務官の簿外信託等調査書

一、大蔵事務官の「佐沼税務署の庁舎新築移転について」と題する書面

一、大蔵事務官の脱税額計算書(自昭和五〇年六月一日至昭和五一年五月三一日)、(判示第一事実につき)

一、大蔵事務官の脱税額計算書(自昭和五一年六月一日至昭和五二年五月三一日)、(判示第二事実につき)

一、大蔵事務官の法人税の修正確定申告書謄本(昭和五〇年六月一日より昭和五一年五月三一日まで)、(判示第一事実につき)

一、大蔵事務官の法人税の修正確定申告書謄本(昭和五一年六月一日より昭和五二年五月三一日まで)、(判示第二事実につき)

一、被告人の検察官に対する供述調書二通、大蔵事務官に対する質問てん末書三一通及び上申書二通(昭和五三年九月一一日付質問てん末書には「高橋茂男上沼農校現場」等の記載のあるメモ添付)

一、被告人の当公判廷における供述

一、押収にかかる法人税確定申告書二通(昭和五四年押第一〇一号の一及び二)

(法令の適用)

被告人の判示各所為は法人税法一五九条一項に該当し、被告会社は同法一六四条一項、一五九条一項の適用を受けるべきところ、被告人については所定刑中懲役刑を選択し、以上の各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により併合罪の加重をした刑期範囲内において被告人を懲役一〇月に処し、同法二五条一項によりこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予し、被告会社については法人税法一五九条二項により法人税ほ脱額以下の罰金刑を科することとし、以下の各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罰金の合算額以下において、被告会社を罰金一、三〇〇万円に処することとし、主文のとおり判決する。

(裁判官 伊藤豊治)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例